【保育士】処遇改善加算って結局なに? 〜制度の仕組み編〜

保育士の給料をアップする取り組みとして、2013年から始まった処遇改善加算される制度です。現在保育士として働いている人のなかには、給与明細に処遇改善の文字を見たことがあるかもしれません。しかし、処遇改善加算とはどういう制度なのでしょうか。この記事では、処遇改善加算の制度についての基礎知識をご紹介します。支払われないケースもあるのか等、気になる点にも触れていきます。

処遇改善加算とは

処遇改善加算とは、2013年に始まった給与が低いとされる保育士の給与に一定額をプラスする制度です。平均勤続年数によって加算率がアップします。最近では、追加の加算制度が始まり、役職等につくことで給与に加算額が上乗せされる制度も始まりました。

処遇改善加算は国の政策ですが、処遇改善の施策を独自で行なう自治体も増えています。

賃金の上乗せや勤続年数に応じた報奨金の支給だけでなく、家賃補助(社宅制度)、奨学金返済の補助等、保育士の生活を直接的に支援する、具体的な施策を行っている自治体もあります。

導入の背景

処遇改善加算の導入背景には、潜在保育士の活躍を促す意味合いがあります。

潜在保育士とは、保育士資格を有しながらも保育士としての就業を望まない人たちのことです。潜在保育士がなぜ保育士として就業しないのかを調査したところ、47.5%の潜在保育士が「賃金が希望と合わない」と答えました。

※厚生労働省職業安定局「保育士資格を有しながら保育士として就職を希望しない求職者に対する意識調査(平成25年)

実際、保育士の給与はその他の職業に比べて給与が安い傾向にあります。厚生労働省の平均年収を比べても、全職種の平均と100万円以上低いことは珍しくありません。

処遇改善加算は、給与を理由に保育士を諦めている潜在保育士に保育士として現場に出てもらい、現在働いている現役の保育士には今後も安定して働いてもらうための政策です。そして、ひいてはそれが「保育の質向上」につながとしています。

処遇改善加算の仕組み

制度が始まった2013年から2016年までの4年間、段階的に月額約2万6,000円まで給料はアップしました。2017年からはすべての保育士に月額6,000円の給与が加算され、さらに技能や経験に着目した処遇改善制度も開始しました。

処遇改善等加算Ⅰと処遇改善等加算Ⅱの違い

処遇改善等加算Ⅰは2015年に、処遇改善等加算Ⅱは2017年にスタートしています。

処遇改善等加算Ⅰは経験年数によって加算される制度で、処遇改善等加算Ⅱは研修等を終えることで加算される制度です。

処遇改善等加算Ⅰ

支給額は「基礎分」と「賃金改善要件分(キャリアパス要件)」によって決まります。

基礎分は、職員一人あたりの平均経験年数によって加算率が変わります。1年未満は2%、1年は3%、2年は4%と、1年毎に1%ずつ増えていき、10年以上では一律12%が加算されます。

賃金改善要件分は、保育士に賃金改善を行っている施設の保育士を対象とするもので、勤続年数11年未満は6%、11年以上では7%が加算されます。

賃金改善ではなく、保育士のキャリアアップに力を入れている施設の場合は、キャリアパス要件分として処遇改善等加算の対象になります。

職務内容、役職、賃金体系等の設定をし、保育の質向上に向けた研修を実施することで加算されるものです。ただし、条件が満たない場合は、賃金改善要件分から2%の減額となります。

処遇改善等加算Ⅱ

キャリアアップ研修を修了し、経験やスキルを身に着けた保育士に対して賃金を加算する制度です。

保育園は一般企業と違い、中間管理職がほとんどいません。園長や主任等の役職があるだけで、それ以外の保育士は経験があっても平社員と同じ待遇になります。これが、保育士が昇給できない要因にもなっていました。

そのため、国主導で新たな3つの役職を設け、一定条件を満たしており、研修を修めることで昇給できる制度を開始。保育の質とともに給与をアップさせる仕組みをスタートさせました。

キャリアアップ研修は全部で8分野あり、1分野あたり15時間以上受講することで修了する研修です。

期間限定の処遇改善等加算Ⅲ

実は2022年2月から2023年3月までの期間で、月額9,000円が支給される取り組みが行われていました。すでに修了してしまいましたが、今後も処遇改善等加算Ⅲに続く政策が打ち出される可能性はあります。

副主任

職務分野別リーダーを取得し、おおむね7年以上の経験がある者で、合計3分野以上の専門研修とマネジメント研修を修了した保育士が対象です。副主任として発令があれば、月額4万円の処遇改善手当を受け取れます。

専門リーダー

職務分野別リーダーを取得し、おおむね7年以上の経験がある者で、合計4分野以上の専門研修を修了した保育士が対象です。専門リーダーの発令があれば、月額4万円の処遇改善手当を受け取れます。

職務分野別リーダー

おおむね3年以上の経験年数があり、6分野のうち担当の職務分野の研修を修了した保育士が対象です。職務分野別リーダーとして発令があれば、月額5,000円の処遇改善手当が受けられます。

保育士が処遇改善手当をもらえないケースもある?

処遇改善手当はすべての保育士が対象です。パート・アルバイトなども関係なく、派遣社員や非正規職員も給与に加算されます。また、保育園で働く栄養士や調理員、運転手等も処遇改善手当の対象です。

ただし、認可保育所以外では加算手当は受け取れません。また、認可保育所でも、保育園が受給手続きをしていなければ受給することができません。

まだまだ足りない!との声も

あなたが保育士として認可保育所で働いているなら、給与明細を見てみましょう。給与とは別に、処遇改善手当の項目が記載されているはずです。保育士の処遇改善加算ですが、それでもまだ他の業種よりも少ない現状があります。まだまだ保育士不足の現状はあるため、追加政策が行われる可能性もゼロではありません。パートや派遣職員も支給対象なので、今後働く予定のある方も、制度について知っておきましょう。

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