保育園と言っても、最近では様々なタイプの保育園があります。小規模保育園は名前の通り小規模な保育園のことで、その中でも3つのタイプに分かれます。この記事では、小規模園と一般の保育園の違いや、小規模園のタイプによる違い、働くメリット・デメリット、給与について解説します。
小規模保育園(小規模園)の施設タイプ
小規模保育園とは、0〜3歳未満の児童が対象の保育施設です。乳幼児保育がメインとなり、家庭的保育に近い環境で保育できる施設として設置されています。
小規模園は待機児童解消を目的として設置された保育園です。少しのスペースを活用した保育園運営ができるよう、制度が整備されています。
利用定員は一般的には6〜19名です。ただし、2021年からの新子育て安心プランの小規模保育の弾力化により、25名までは預かることが可能になっています。
小規模園には3つのタイプがあり、職員の配置人数や保有資格によってタイプが分かれています。小規模園で働くにはどんな資格が必要なのか、チェックしてみましょう。
A型
A型では、認可保育園などの一般的な配置基準に一人多く配置します。また、職員はすべて保育士資格を保有していなければいけません。ただし、保健師や看護師などを配置する場合は例外で、保育士資格のない保健師、看護師等でも1人まで配置できます。
保育室の広さは0・1歳児は1人あたり3.3平方メートル、2歳児は1人あたり1.98平方メートルが必要とされています。
B型
B型はA型とC型の折衷タイプです。職員数はA型と変わらず一般的な配置基準に1人多く配置します。
大きな違いは、保育士資格を保有している職員数は全体の半数以上であればいいこと。そして、保育士以外の職員には研修が必要なのも特筆すべき点です。
保健師や看護師などは、A型同様特例として1名までは有資格者に数えられますが、資格のない職員には研修しなければいけません。
保育室の広さはA型同様の条件です。
C型
家庭的保育やグループ型保育と呼ばれるタイプの保育園です。園児3名に対して1人の職員配置が必要です。配置される職員は、市町村が実施する研修を修了している保育士や「保育士同等以上の知識と経験のある職員」とされています。
保育室の広さの規定がA型・B型と違い、全年齢通して園児1人あたり3.3平方メートルを確保しなければいけません。
小規模保育園で働く魅力やメリット、デメリット
まずは、小規模保育園で働く魅力やメリットについてみていきましょう。
【魅力・メリット】少人数ならではのアットホームな環境
少人数の環境から、子どもたちも職員もよく知る間柄となります。認定保育園などではたまにしか顔を合わせない職員も多いですが、小規模園の場合は、お互い出勤していれば必ず顔を合わせます。子どもとの関係も同じで、登園していれば必ず顔を合わせ、関わる機会も多いです。
時間をかけて関わることも可能になりやすく、じっくりと子どもに向き合いたい保育士さんには魅力的な職場です。
【魅力・メリット】業務負担や持ち帰り仕事が少ない
小規模園では、一人あたりの担当する子どもの数が通常よりも少なくなります。認定保育園等に比べると日常業務の負担は比較的少ないです。そのため、持ち帰り仕事や残業などの心配はほとんどありません。
行事やイベントも少ないため、毎日の日常業務に集中できるという利点もあります。
【魅力・メリット】体力的な負担が少ない
0〜2歳では近隣の公園へ出かけるなどの機会も少なく、行動範囲は狭くなります。園舎も1フロアでどこにいても園児の姿を確認できるため、移動の機会も多くありません。園庭もなく、動き回る機会も少ないため、中規模以上の認定保育園等と比べると体力的な消耗は少ないでしょう。
【魅力・メリット】休みが取りやすい
小規模園は行事やイベントが比較的少ないため、準備等も必要なく、休みが取りやすいメリットがあります。行事がある場合も規模自体が小さい事が多く、準備の負担も少ないことが多いです。
【魅力・メリット】乳児保育における豊富な経験を積める
0〜2歳の低年齢の子どもたちに関する専門的な知識、経験がたくさん積めます。
認可保育園等では、0〜5歳までの幅広い年齢の子どもたちが通うため、どの年齢の子どもを担当するかは人事にかかっており、自分では選べないことも多いです。
しかし、小規模保育園ならピンポイントで乳幼児を担当できるため、乳幼児保育の経験を増やしたい方には魅力的な保育園でしょう。
【魅力・メリット】人間関係ストレスが少ない
小規模保育園の場合、働く職員が少なく、職員同士のコミュニケーションが取りやすいため、人間関係のトラブルが起きにくいと言われてます。
もちろん、限られた職員の中に苦手な人がいればうまくいかないこともあるかもしれませんが、各職員といい関係を保てればストレスはかかりにくいでしょう。
【魅力・メリット】アクセスのいい園が多い
小規模保育園に預ける保護者は、そのほとんどが働いています。一般的には通勤途中に送迎できる保育園を選ぶため、駅等から近い場所に設置されることがほとんどです。
自動車通勤がつらい、駅からの徒歩通勤から開放されたいという方は、小規模保育園への転職はとてもおすすめ。商業施設内などに設置された園もあるので、仕事帰りに買い物をするのにも便利です。
さて、ここまで魅力やメリットを見てきましたが、小規模園で働くことにはデメリットもあります。
【デメリット】他の職員のスキルに左右される
小規模保育園の場合、B型やC型の園では保育士資格がない人も働くことができます。そのため、保育経験の浅い人がいると、担当できる業務が限られたり、他の職員がフォローしなければならないなど負担が増えます。
とくに、小規模保育園は職員の数も少数です。同じ小規模保育園でもどんな職員がいるかどうかで業務負担が左右されることを理解しておきましょう。
【デメリット】欠員の影響を受けやすい
もともと職員数が少なく、配置基準ギリギリで運営している園の場合、欠員が出ると他の職員の負担に繋がります。小規模園の場合はそもそも働いている職員が少ないため、欠員が出た場合の影響は小さくありません。
【デメリット】保育士としての経験が偏る
0〜2歳児までの低年齢児の保育となることから、保育士としての経験は偏りがちになります。園庭がないため保育活動も限られ、狭い室内での活動を企画することが多くなります。
イベントや行事も少ないため、運営の経験を積みたい方にもあまりおすすめできません。
小規模保育園の給与は?
気になる給与ですが、A型、B型の正社員の年収は約320万円で、C型の正社員の年収は約350万円です。公立や私立の保育士の平均年収は約360万円ですので、小規模保育園の正社員給与は一般の保育園と比べて安い傾向にあります。
しかし、これは残業が少ないことや、子どもを預かる時間自体が比較的短いことが影響しています。業務内容に見合った給与額といえそうです。
首都圏の小規模保育園や大きな運営母体の園などは、比較的給与は高くなり、処遇改善の対象になれば、さらなる給与アップも見込めるでしょう。
負担の少ない働き方を選ぶなら小規模園
小規模園は0〜2歳の乳幼児を預かる園で園庭等もないため、体力的な負担や業務負担が少ないと言われています。保育士を続けたいけれど、負担の少ない働き方がしたいなら、小規模保育園での仕事はうってつけです。給与額は一般の保育園よりも低い可能性がありますが、メリットも多い小規模保育園。転職先として検討するのもおすすめです。