保育士として働くなら、避けては通れないのが採用面接です。正規職員でもパートでもしっかりと面接をする施設が多く、対策をしておかなければ、いざというときに答えに詰まる事になりかねません。無事、志望する施設で働くためにも、面接対策をしっかりと行っておきましょう。この記事では、保育士の採用面接時に聞かれることを、面接官が何を知りたいのかという視点から解説していきます。
保育士面接で面接官が知りたいこと
ここからは、「面接官が知りたいこと」に焦点を当てたいと思います。なぜ面接官はその事項について知りたいのか、知るためにどんなことを聞かれるのか、考えてみましょう。
前園を辞めた本当の理由が知りたい
どの保育園も「長く働いてくれる人」を求めています。猫の手も借りたいほど忙しい保育士の現場ですが、それでも「すぐに辞めてしまう人」や「入職後にトラブルになる人」は避けたいのが本音です。
「いい人なら採用したいんだけど……」という思いから、退職や転職の理由を尋ねてきます。
- 複数回転職した理由はなんですか?
- 現在働いている職場を退職したい理由を教えてください
退職した理由について、基本的には正直に答えても大丈夫です。しかし、決してネガティブな発言にならないよう注意しなければいけません。
以下のA・Bは、残業が多く、職場の人間関係が悪いことで退職した人の退職理由です。
A「残業が多く、体力の限界だった。先輩にも無視され、精神的に辛かったからです」
B「残業がなく、チームワークを大切にしている保育園で働きたいと思ったからです」
Aの発言はあまりにネガティブな表現で、聞いている面接官も心配になりそうな受け答えをしています。問題なく働けるのかどうかすら危うそうです。
一方、Bの人物なら、協力しながら働いていけそうな気がします。転職理由はまったく同じでも、言い方ひとつで印象が大きく変わることを理解しておきましょう。
園の方針とマッチするかどうかを知りたい
その人の保育観と園の方針が合うかどうかは、運営に関わる重要な問題です。保育園の理念や保育方針に共感があるのか、面接官は知りたがっています。質問にするなら、以下のようになるでしょう。
- この施設を志望した理由は?
- 保育をする上で大切にしていることはなんですか
- 小規模保育施設を選んだ理由はなんですか?
保育園には認可保育園や小規模保育施設、院内保育園などさまざまな保育園があります。小規模保育施設は、定員6〜19名、0〜2歳の子どもを預かる施設で、名の通り小規模なのが特徴です。
アットホームな環境で一人ひとりの園児に向き合える等、メリットも多い一方で、業務範囲が広いという特徴もあります。例えば、調理師が担っていた業務を保育士が担うなど、オールマイティにこなさなければいけません。
このように特徴的な施設の場合、施設の特徴を理解しているかどうかの質問を振ってくる場合があります。
条件重視で選んでいないかどうか
求職者にも保育理念や保育方針に共感してほしいと思う施設は少なくありません。求職者としては条件を重視してしまいがちですが、面接官は施設とのマッチングを重視していることを忘れてはいけません。
- この施設で活かせるスキルや経験はありますか
- 園の特徴や保育方針で共感できる部分を教えてください
条件面を理由に志望していたとしても、その本音はしまっておくのがベターです。面接では、その施設と自分のスキルや経験がどれくらい活かせるのか、保育園の方針にどれくらい共感しているのかを伝えるように心がけてください。
うちの園をどの程度希望しているのか
いくつかの園を見て回ったり、複数の園へエントリーシートを出したりすることは珍しくありません。そのため、保育園は「どの程度うちの園で働きたいと思っているのか」が気になります。
もし、働く意思がないのであれば、他の人の採用も視野に入れなければいけないからです。
- 他にも施設があるなか、この保育園を志望した理由を教えてください
- この園で活かせる自分の強みを教えてください
- 一番魅力に思う園の特徴はなんですか
本当に働きたいと思っているなら、園独自の特徴や魅力に対し言及するといいでしょう。また、自分がこの施設でどんなふうに活躍したいかなど、具体的に説明できると説得力を感じられます。
園に貢できるスキルや経験は持っているか
面接官は、採用することでどんなメリットがあるかを常に考えています。そのため、スキルや経験を等質問は面接では欠かせません。
- 自己PRをお願いします
- 保育園生活で印象に残った出来事と、その際の気付きについて教えてください
- これまでのスキルをどう活かしたいですか
- 前職では、何を学んだと言えますか
面接の際には、自分がどんなスキルを持っているのか、経験をしたのかだけでなく、今後の園生活でどう活かすつもりなのかもセットで答えられるようにしてください。自己PRなどにも、「経験しました」で終わることなく、「経験したため、今後は◯◯分野で活かせたらと考えています」等と、将来的な展望を踏まえて答えられるとベストです。
面接対策の基本
さまざまな質問の意図を理解したところで、ここからは、面接の基本的な対策について解説していきます。最低限押さえておきたいポイントですので、しっかり確認しておきましょう。
TPOをわきまえる
TPOとは、Time(時間)、Place(場所),Occasion(場合・契機)の頭文字をとった言葉です。つまりは「時と場合に合わせる」という意味になります。
保育士の面接には、TPOをわきまえた服装で挑みましょう。
服装や髪型に清潔感はあるか、挨拶など社会人としての基本的な振る舞いができるか、丁寧語や敬語で話せるか等、面接に適したコミュニケーションを心がけます。
正職員の採用面接の場合は、基本的にはスーツを着るのが一般的です。エージェント等の指導によると、アルバイト・パートの場合は、必ずしもスーツである必要はありません。落ち着いた色を選び、ブラウス等のきれいめなスタイルを選びます。
表現はポジティブに
表現は基本的にポジティブな表現に直しましょう。
例えば、転職理由はネガティブな表現になりがちです。「人間関係トラブルがあった」「給料が低かった」「怪我をした」等、真実でも聞いている方はあまりいい印象を抱きません。
それどころか「人間関係を築くのが苦手なのかな」「お金が目的なのかな」「怪我でできない業務があるのでは?」と、面接官を不安にさせてしまうでしょう。
不安な印象を抱く相手と、一緒に働きたいと思う人は少ないはずです。人間関係トラブルが原因で退職していても、「より良い環境で自分の理想の保育を実践したい」等、できるだけポジティブに言い直し、相手に期待を持って貰えるように心がけましょう。
- 転職理由は納得の理由を
転職理由があやふやだと「言えない秘密があるのでは?」と勘ぐられてしまいます。「正直に話さない人」という印象も抱かれやすいです。
そのため、できるだけ転職理由ははっきりと伝えたほうがいいでしょう。「キャリアアップできる環境で働きたい」「以前は大規模園だったので、今度はアットホームな環境で子ども<一人ひとりに向き合いたい」等、ここでもポジティブな表現に努めるようにしましょう。
まとめ
保育士面接では、保育士の人柄とスキルや経験を問われる質問がほとんどです。自己分析をする際にも、自分にどんなスキルや経験があるかだけでなく、自分という人間がどういう人間なのか、向き合っておくと役に立つでしょう。面接で意外な質問があっても、慌てずに答えられるようになります。