ベビーホテルってどんな施設?保育士が働くメリットとデメリット

ベビーホテルという名称から、赤ちゃんを一晩預かってくれる施設だと思っていませんか? しかし、実際は宿泊を行わない施設も多く、名称から想像する施設とはかなり違いがあります。この記事では、ベビーホテルがどんな子どもを預かるのか、どんなサービスを提供するのかについて解説。働く保育士にとってのメリット・デメリットに関しても触れていきます。

ベビーホテルの特徴

ベビーホテルとは、

  • 夜20時以降の保育活動を行っている
  • 宿泊を伴う
  • 利用児童の中で一時預かりの児童が半数以上

のいずれかに該当する認可外の保育施設を指します。

必ずしも宿泊できる施設というわけではありません。22時で閉園する施設でもベビーホテルと呼ぶことができます。

それでも、多くの保育園は19時、20時ころで閉園してしまうため、20時以降に開園している施設は貴重です。

残業が多い、終業時間が遅い、夜勤が欠かせない仕事をしている人にとっては、ベビーホテルはとても頼りになる存在と言えるでしょう。

ベビーホテルは早朝にも開所しているため、早朝から預けられる保育施設として利用する保護者も多いです。

地域によっては、認可保育所の待機児童に数えられる児童が利用しているケースもあり、必ずしも夜間だけに需要があるわけではありません。

利用する子どもの年齢

預かる子どもの年齢は主に0歳から6歳です。中でも、1歳や2歳などの特に低年齢の子どもの預かりが目立ちます。

施設によっては、休日や平日の早朝・深夜に小学生を預かる施設もあります。一般的な保育園とは一線を画する保育施設です。

サービスや仕事内容

ベビーホテルでの保育士の仕事には、以下のようなものがあります。

食事・おやつの介助

まずは食事やおやつの介助です。

離乳期にある児童の場合は、1日1回〜3回の離乳食やミルクなどを摂取します。普通食の子どもの場合は、1〜3回の食事とおやつを食べるのが一般的です。

小規模な運営の場合は、保育士自らが簡単な調理をすることもあります。

沐浴・入浴の介助

一般的な保育園業務と明らかに違ってくるのは沐浴や入浴の介助です。遅くに迎えに来る保護者にとってはありがたいサービスと言えるでしょう。

とくに遅くに帰宅する保護者が多いベビーホテルの場合、帰宅後にお風呂へ入るとなると就寝時間は遅くなってしまいます。

沐浴や入浴は皮膚を清潔にし、健康維持のためにも大切な習慣ですので、ベビーホテルでも沐浴や入浴は欠かせません。

一般的な保育園ではなかなか行わない沐浴や入浴に関しての介助方法は、入職する前に一度確認しておくと安心です。

寝かしつけ

宿泊や夜間保育を行うベビーホテルでは、子どもたちの寝かしつけをするのも保育士の重要な仕事です。

24時間開園しているベビーホテルであれば、午睡や夜の就寝時に寝かしつけをします。夜の就寝時間は一般的に21時頃です。

家と違う環境で、眠れない子がいることもあります。子守唄を歌ったり頭を撫でたり抱っこしたりして、安心した雰囲気のなかで眠れるような工夫が必要です。

年中や年長になると、寝る前に歯磨きをする施設もあります。家庭での生活習慣を踏まえながら、連続性のある保育を心がけることが大切です。

散歩・遊び

日中に子どもを預かる場合は、散歩や遊びを取り入れて体を動かすことも大切です。近くの公園まで散歩したり、遊具で遊んだりするなど、夜間の過ごし方とはメリハリをつけるといいでしょう。

資料作成、連絡帳記入

ベビーホテルによりますが、連絡帳や日誌の記入などの仕事もしなければいけません。利用者数は少ないため、一般の保育園に比べると業務負担は少ない傾向です。

掲示物やイベント準備

ベビーホテルは一時利用する児童もおり小規模運営が多いため、行事やイベントはほとんどありません。日中の活動で使う工作の下準備をするなど、最低限の準備作業しか発生しません。

環境の整備・清掃等

小規模なベビーホテルの場合、清掃や洗濯、食器洗いなど、環境の整備や清掃を行うのも保育士の仕事です。

夜間保育所との違いについて

ベビーホテルも大きなくくりでは夜間保育所です。しかし、ベビーホテルは認可外施設で、24時間預かることができたり、宿泊できたりします。

一方、認可施設の場合、開所時間を原則11時間、22時までとしており、ベビーホテルほどの自由な運営はできません。

ひとり親家庭の場合、保護者のニーズは柔軟に預けることのできるベビーホテルのような施設にあります。少子化等により施設や利用者数は減少していますが、家庭によっては欠かせない必要な施設です。

ベビーホテルの月額保育料

ベビーホテルの月額保育料は7万円以上かかることも珍しくありません。中には3〜4万円という家庭もありますが、どんなベビーホテルも、保育所と比べると高くつく傾向にあります。

保育料が高くなりがちなのには、ベビーホテルが認可外施設であることも無関係ではありません。認可保育園のように、運営費を公費では賄えないからです。

ただし、ベビーホテルも幼保無償化の対象になるため、3〜5歳の子どもは月額3万7千円までは利用料が無償化の対象となります。
また、0〜2歳の児童が利用する場合は、住民非課税世帯に限り月額4万2千円までが無償化の対象です。

ベビーホテルでは食事やおむつなど、利用に応じて料金を支払う施設も多く、利用者は多くの経済的負担を負って利用していることを知っておきましょう。

ベビーホテルで働くメリット・デメリット

ここからは、保育士がベビーホテルで働くメリット・デメリットを見ていきます。

ベビーホテルで働くメリット

夜勤があるため給与が高い傾向

ベビーホテルは早朝夜間の預かりを行う施設です。そのため、深夜手当等が支給され月給全体が底上げされます。

一般的な保育現場とは違う経験を積める

沐浴や入浴の介助、小学生の預かりなど、ベビーホテルならではの日常業務があります。

クラス分けもなく、乳幼児から年長さんまでを一つの部屋で見守るため、保育士としてのスキルや経験も底上げすることができるでしょう。

また、24時間の生活の流れを意識して保育を行えるのも、ベビーホテルの魅力です。

ベビーホテルで働くデメリット

不規則な勤務シフト

24時間運営の施設もあるベビーホテル。全国的な平均開所時間は16〜17時間といわれています。開所時間が長いベビーホテルではシフトが不規則になりやすく、生活リズムが崩れて体力的にキツいと感じる人もいるでしょう。

施設によっては固定シフトが可能な施設があったり、仮眠を取れる施設もあるため、自分に合った働き方ができる施設を選ぶことが大切です。

人手不足のあおりを受けやすい

一般的な保育施設でも人手不足が叫ばれていますが、開所時間が長く、深夜早朝に働く必要があるため、ベビーホテルはさらに人手不足になりがちです。

入職後も手取り足取り教えてもらえないなど、慣れるまでは大変に思うことが多いかもしれません。

休みが取りにくかったり、人間関係がギスギスしているなど、人手不足が要因で起こるトラブルも起こりがちになります。

求職中の場合は、現場の人員配置などを確認し、休みが取れるかどうかなどの運営体制をチェックしてから入職するようにしてください。

ベビーホテルでは無資格でも働ける?

ベビーホテルは認可外保育園です。そのため、保育士免許を持っていない無資格のスタッフも勤務しています。もちろん、中には有資格者のみを募集している施設もあります。有資格者のほうが採用には有利なようです。

ベビーホテルの数は一時に比べると減少傾向にありますが、人手不足の保育業界はまだまだ売り手市場です。資格や経験等をアピールすれば、採用される可能性は高まります。

早朝深夜に働く家庭の味方に

ベビーホテルは、早朝や深夜などに子どもを預かる保育施設です。一般的には認可外保育所で、なかには24時間預かる施設もあります。預かる年齢層も幅広く、0歳から小学生までが利用者です。保育士としては、月給が高く、さまざまな子どもと関わることができる魅力的な職場です。シフトが変則的になりやすかったり、人手不足になったりしやすいですが、保育士としての経験の幅を広げるためにはいい機会となるでしょう。

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