毎月発行する園だよりは、保育施設の運営に欠かせないとても大切な情報共有ツールです。この記事では、園だよりの書き方のポイントだけでなく、困ったときに参考にしたいトピックの例なども紹介します。「何から書き出せばいいのかわからない」「毎月同じ内容でマンネリが続いている」など、園だよりに頭を抱えている方、必見です!
園だよりの役割
まずは園だよりの役割確認を行いましょう。
園だよりは園から保護者へのお知らせツールの一つです。スケジュールや保育方針、子どもたちの育ちや教室の様子などを主にお知らせします。
また、遠足や運動会などのイベント等で必要なものや、前もって準備が必要な場合にも、園だよりを活用する場合があります。
より具体的なお知らせは後日別途資料などを配布し、園だよりには概要などをお知らせするのが一般的です。
園だよりの書き方
園だよりには、以下のようなトピックを記載します。
保育方針や取り組み
行事の狙い
子どもたちの様子
特別なお願い
行事に必要なものの準備
その他のお知らせや連絡事項
クラスのお友達の誕生日などを記載したり、飼育する動物たちの様子などを伝えたりすることもあるでしょう。
また、園だよりを発行せず、学年だよりやクラスだよりを発行する保育施設もあります。配布する範囲や目的に合わせて内容を調整するのが一般的です。
園だよりを書くコツ
保護者の方に読んでもらえる、読みやすく親しみやすい園だよりの書き方をご紹介します。
書き出しでは季節の挨拶など、季節感のある文章を入れる
書き出しに季節の挨拶などを利用するとスマートな印象になります。硬すぎる必要はありませんが、読む人が季節の変化を感じられるような内容を記載するといいでしょう。
時候の挨拶などは、ネット上にもサンプルやテンプレートがシェアされています。かしこまった表現は苦手……という人ほど、ネットや挨拶文の文例集などを活用しましょう。
季節感は挿絵にも
園だよりを作成するときには、挿絵にフリーのイラスト素材などを使うことがあります。園だよりにイラストを使用するときには、文章同様に季節感を意識するのがポイントです。
春は桜やチューリップ、夏はビーチボールやスイカ、秋はさつまいもやハロウィン、冬はクリスマスやお正月など、季節の行事に絡めたイラストを使ってもいいでしょう。
伝えたいこと(コンセプト)を決める
園だよりを作成する前に事前に保護者に伝えたい項目をピックアップしてください。
今回は「遠足の情報をメインにしよう」「感染症が流行しているから、予防対策を周知しよう」など、各月のトピックを決めます。メインのトピックと、サブのトピックと、複数用意してもいいです。
一番重要な内容をトップに据える
コンセプトを決めたら、一番重要な項目を決めてスペースを配分します。コンセプトとなるトピックは、一番目のつく場所に、大きめに配置すると見る人にわかりやすいです。
パッと見ただけでも「この情報は重要そうだ」とわかるようなスペースの配置を心がけましょう。
全体的なバランスを考える
トピックの配置、内容を決めたら、全体のバランスをチェックしてみてください。情報量の多い少ないや、情報が伝わりやすいか、情報が見やすいかなどを確認しましょう。
今月のお誕生日や、お知らせなど、毎号記載する内容は定位置にすると見やすくなります。毎月重要となるトピックほど定位置を決めておくと、保護者の見落とし防止になり親切です。
すでにある文章をまねて効率的に!
文章はそもそも、すべてイチから自分で考えるのは難しいです。保育士の仕事は忙しいからこそ、園だよりの編集ではすでにある文章をまねして効率的に作成しましょう。
テンプレートやサンプル例文など、ネット上にはたくさんの園だよりの参考例文があります。過去の園だよりを参考にして文章をまねしてもいいかもしれません。
文章はまねればだんだんと上達していくものです。最初はまねするのも大変かもしれませんが、慣れれば自然と自分だけでも園だよりの文章が書けるようになるはずです。
文章作成のポイント
ここからは、園だよりにおける文章作成のポイントについて触れていきます。
伝えたいことを書き出しで伝える
伝えたいことは後回しにせず、まず、冒頭で伝えるようにします。文章を長々と読まない人も多いので、言いたいことは冒頭や序盤に記載するようにしましょう。
冒頭で趣旨がわかると、その後の文章も読みやすくなり、結果的には最後まで読んでもらいやすくなります。
一文は短く
文章は短めにすることを心がけましょう。「Aが◯◯したのでCが◯◯でしたが、Bが◯◯したことでCは◯◯ができました」というような、助詞や接続詞が重なる文章は控えるほうがベターです。主述関係が複雑になり、意味が通りにくくなります。
パッと読んだだけで頭に入る文章にするためにも、一文には1つの意味だけを込めるようにし、読む人に優しい紙面を考えてください。
読みにくいときは5W1Hでチェック
「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」のアルファベットの頭文字をとって、5W1Hと呼びます。
文章に読みにくさを感じたら、5W1Hに照らし合わせて、内容を整理するといいです。
下記の例で考えてみましょう。
いつ:明日
どこで:はな組の教室
誰が:保護者
何を:栄養相談教室
なぜ:幼児向けの朝食レシピ紹介
どのように:スリッパ持参、託児あり
5W1Hを整理したら、早速文章にしていきます。すべてを一文につなげてしまうと長くなるので、以下のように適宜短文に整えてください。
「明日ははな組の教室で、保護者向けの栄養相談教室を開催します。幼児向けの朝食レシピを紹介しますので、お子さんの朝食にお悩みのご家庭にはとてもおすすめです。当日はきょうだい児の託児もあります。スリッパ持参での参加をお願いします」
言葉を発しない乳児は行動から代弁したコメントを
園だよりで乳児の様子を伝える際には、エピソードをそのまま記載しつつ、乳児を代弁するようなフレーズを入れると、読む人にも臨場感が伝わります。
「隙間からぬいぐるみが見えたようで『とって、とって!』と一生懸命に腕を伸ばしていました」
乳児の場合、行動や行動範囲が限られるため、そのままの様子を書いても現場の雰囲気が伝わりません。臨場感が伝わるよう、代弁コメントを考えて記載してみましょう。
園だより作成の注意点・確認のポイント
ここからは、園だより作成における注意点や確認ポイントをご紹介します。
スケジュールは余裕を持って
園だより作成は前もってスケジュールを組んで作成しましょう。スケジュールに余裕を持つことで、確認したり、修正したりする時間が取れます。
他の保育士の目でチェックする
書いた文章を自分でチェックするだけでなく、他の保育士の目でもチェックしてもらいましょう。自分自身では気づけないミス、言い回しの違和感なども、他の保育士なら気付ける場合があります。
下書きが終わったら、印刷前に必ず他の保育士に読んでもらってください。
行事日程などはダブルチェック
行事日程などはダブルチェックを行うと確実です。自分自身でもチェックを行うほか、他の保育士にも依頼してダブルチェックを行いましょう。
保護者は園だよりに記載されたスケジュールを見て、仕事の予定を決めています。シフトの調整をして園の運営に合わせていることも多いため、「うっかり間違えた」では済まされません。
園だよりを配る直前まで、日時に関しては何度もチェックするようにしてください。
言葉遣いに注意
園だよりに話し言葉を使ったり、ぞんざいな言葉を使ったりしすぎると失礼な印象を与えてしまうことがあります。園だよりではなるべく敬語を使い、誤字脱字などに注意するようにしましょう。
あまりに稚拙な文面だと、「子どもを任せて大丈夫だろうか」と不安にさせてしまうこともあります。
不安な場合は、やはり他の保育士に見てもらうと安心です。
子どもの個人情報に配慮
基本的には子どもを特定できるような個人情報は記載しないようにしましょう。クラスメイトの誕生日などを書くことはありますが、名字だけイニシャルにするなどし、フルネームを明記しないのが無難です。
また、大きく明瞭な顔写真は使わない、名札の名前を消す等、配慮しましょう。配布する園だよりににナンバリングをしたり、園児の名前を書いたりするなど、複製が出回りにくいような工夫も必要です。
情報は正確に
なんとなく知っている程度で情報を拡散してしまうと、取り返しがつかないことにもなり得ます。
感染症対策や健康管理などは、昔のやり方を踏襲していたりすることも少なくありません。
例えば、感染症対策には「加湿が大切」と思われがちですが、手入れをしていない不衛生な加湿器を使ったり、加湿しすぎたりすると、逆に健康被害を及ぼす可能性があるといわれています。
園だよりに「部屋は必ず加湿しましょう」と記載してしまうと、「何がなんでも加湿しなければいけない」と受け取る保護者が出てくるかもしれません。
園だよりに記載する際には、正しい対策方法を改めて調べたり、医師が発信している健康管理情報を参考にしたりするなどして、信頼度の高いところから情報を得るようにしましょう。
また、保護者が読んで「この方法で大丈夫なの?」と不安がらせることのないよう、専門家の間でも意見が分かれるような内容は書かないほうが無難です。
何を書く? 困ったら参考にしたいトピック6選
園だよりのトピックに困ったら、ぜひ、以下の内容を参考にしてトピックを追加しましょう。
最近の保育園の様子
「言葉を発する子が増えてきて、教室内がにぎやかになっている」「大縄跳びが人気で、屋外あそびの時間になると、子どもたちが園庭に元気よく飛び出していく」など、イメージが湧くような一文を考えましょう。
普段から全体を俯瞰する目を持ち、様子の変化に敏感になっておくことも大切です。
季節についての話題や行事、記念日
お正月や節分、お月見などの伝統的な行事や、季節の変化とともに触れていくのは大切なことです。
園恒例の行事がある場合は、今年初めてその行事を体験する児童や保護者のために、その行事について少し説明を入れるのもおすすめします。
昨今は国際結婚なども珍しくなく、さまざまな国のルーツを持った児童が通っているケースも少なくありません。その行事が日本ではどういう意味合いで行われているのか、行事の概要やねらいなどについて共有できるいい機会にもなります。
お知らせ、お願い
全体に周知しておきたいお知らせやお願いなどを記載するのもおすすめです。
「6月は水遊びが始まります」「10月は衣替えです」といったおおまかなお知らせを記載したり、「最近、爪の伸びている児童が増えています。お友達をケガさせてしまうこともあるため、毎朝、必ずチェックしましょう」といった注意喚起をするのに活用しましょう。
健康管理、感染症対策
児童の健康管理をどう行えばいいかわからない保護者は少なくありません。「朝ごはんの目安」を紹介するなど、日々の保育の助けになるようなトピックを共有してみましょう。
「最近インフルエンザが流行っています! 手洗いうがいを入念に行いましょう」など、時節柄の注意喚起を行うのも大切です。
ひと月のスケジュール
園だよりには1カ月のスケジュール表を記載するのが一般的ですが、中でも重要な行事の日程だけ大きく表示するなど、月のスケジュールを把握しやすいような工夫を入れてみましょう。
保護者会など、必ず参加してほしい行事を抜き出して記載しておくと、保護者の見落としがなく安心です。
今月のうた
園での生活を保護者の方と共有するためにも、今月のうたなどを記載するのもおすすめです。紙面に余裕があるなら、歌詞や楽譜などを掲載してもいいかもしれません。
園だよりはコミュニケーションツールのひとつ
毎月発行する園だよりは、園と保護者の大切なコミュニケーションツールの一つです。保護者との協力体制を築くうえでは欠かせません。
なかには、毎月の園だよりを楽しみにしている保護者もいます。保護者たちが求めるニーズなどに合わせてトピックを工夫すれば、保育現場との連携が行いやすくなる、保育者への信頼感が増す等、メリットも得られます。